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文化経営学 准教授
松田 陽 MATUSDA Akira
▼ 研究テーマ

私の研究の根底にはあるのは、過去が人間にとって何を意味するのか、という問いである。いかにも大仰な問いだが、おそらくあらゆる学問分野に直接・間接に関連し、分野横断的な研究が求められる文化資源学にふさわしいテーマではないかと(勝手に)思っている。関連するのは何も学問分野や研究者に限らない。過去は万人が想起するものであるために、人々と過去との関係を考えることはきわめて人間的な思索だと言える。過去は個人的なものであり、同時に社会的なものでもあるというのが、これまた面白い。社会科学の用語で言えば、「中間的な(in-between)」存在なのである。そして、人々は過去を覚えておかねばならないと思いながら、その一方で過去を忘れたいとも願う(もっとも、現代社会は記憶よりも記録を重要視しつつあるようだが)。さらに、過去は一度切りであるがゆえに絶対的であるはずにも関わらず、人々の想起する過去は相対的で、柔軟に変化する。過去は未来と同じように開かれているのである。

その開かれた過去に対する人間の付き合い方を考える切り口は、おそらく無限にあるだろう。その中で私がこれまで中心的に考えてきたのは、文化遺産という現象である。私は、文化遺産とは人々が過去に自分たちのアイデンティティを感じるための社会的媒介であると考える。つまり文化遺産は、われわれが過去のどの側面をどのように称揚・記念・顕彰しようとしているのかを量る格好の素材なのである。文化遺産は、部分的には国家や行政制度が生み出し、また部分的には人々が自由に下からつくり出す。そのメカニズムにどれほど地域性があり、またどれほど普遍性があるのかを世界的な視点から考えることによって、過去が人間に対してもつ意味の一部を明らかにしていきたいと思っている。

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